スーパーなどで商品を手にすると、そのパッケージにさまざまなマーク(認証)がついているものをよく目にすることが増えてきました。
今、世界的にも特に注目されている認証の1つに「Bcorp認証」があります。この認証は、環境や社会へのパフォーマンス、透明性、説明責任、持続可能性において優れた会社に与えられるものです。
例えば、アウトドア用品ブランドのPatagonia(パタゴニア)、スノーボード用品ブランドのBurton(バートン)、アイスクリームのBen&Jelly's(ベン&ジェリーズ)などの企業がこのBcorp認証を取得をしていますが、日本で認証を受けている企業の数はまだは少なく、2022年1月現在でわずか7社です。
この記事では、日本ではまだ馴染みのない「Bcorp認証」について詳しく紹介していきます。
Bcorp(ビーコープ)認証の概要
そもそも「Bcorp(ビーコープ)」とは、「B Corporation(Bコーポレーション)」を略したもので、アメリカの非営利団体「B Lab」(2006年設立)が営利企業に対して認証しています。
Bcorp認証を受けた企業の大きな特徴は、株主の利益に限らず、従業員、消費者、地域社会、環境に対して包括的な利益を生むビジネス活動を行っている点です。
例えば、フェアトレード認証は製品そのものを評価するのに対し、このBCorp認証は「企業のあり方そのもの」を評価します。具体的には、環境や社会に配慮した事業をおこなっていて、透明性や説明責任などといった、B Labが定めた厳しい基準をクリアした企業に対して認証が与えられます。
認証取得までのステップ
ここからは、認証取得までのステップを紹介していきます。
2022年1月現在で、日本語の申請ページがないため英語またはスペイン語での対応が必要となっています。
STEP1. B Impact Assesment(Bインパクトアセスメント)に回答する
ガバナンス・従業員・環境・コミュニティ・顧客などに関する「B Impact Assesment(略してBIAと呼ばれています)」に回答します。 質問は、「環境への負荷を低減するために実施している施策は何か?」「新入社員の何%がトレーニングを受けたか?」「どのような形で寄付や地域社会への投資を実施しているか」など、約180問〜200問用意されています。
STEP2. Disclosure Questionnaireに回答する
企業の(罰金や苦情などに関する)背景・出来事などをチェックすることを目的としています。
STEP3. スコアを80点以上を超える
ここまでのステップで80点以上を超えたら申請を行います(※80点を超えないと申請ができません)。
内容によっては回答後にB Labの担当者との電話確認が必要なケースがあります。
STEP4. 法的な要件を満たす
会社運営の基礎となる「会社定款」や、会社の構造そのものをBCorpの理念に沿うように変更する必要があります。
STEP5. 追加資料の提出・調査を受ける
証拠となる情報や、自社のビジネスモデルに関する追加資料を提出します。
また、B Labによって公文書、ニュースソース、検索エンジンを用いて、企業名、ブランド名、経営者・創業者などの関連情報が調査されます。
STEP6. Bcorp認証取得の手続き
STEP1からSTEP5までのプロセスを経て、Bcorp認証の取得が完了となります。
このタイミングでBcorpの宣言書への署名・契約書の作成、及び企業の収益に応じた認定料(登録料)の支払いを行います。
STEP7. 認定の更新
認証の更新は3年ごとにおこなわれ、その際は「B Impact Assessment」を受けて評価を更新をする必要があります。また、更新時にはBインパクトアセスメントで80点以上のスコアを取得した上で、追加資料を提出する必要があります。
Bcorp認証を受けた企業
日本でもよく耳にしたことのある有名企業もBcorp認証を取得しています。今回はその例として3つの企業を紹介したいと思います。
Patagonia(パタゴニア)
1度きりの流行ではなく、長く着続けられる服のデザインをコンセプトにしているパタゴニアは、2012年1月にカリフォルニア州ではじめてBcorp認証にサインアップした会社となりました。
ダノンジャパン
チルド乳製品や植物性食品を扱うメーカーのダノンは、「世界中のより多くの人々に食を通じて健康をお届けする」というミッションを掲げ、⽇本の大手消費財メーカーそして⾷品業界で初めて、2020年5⽉にBCorp認証を取得しています。
Allbirds(オールバーズ)
リサイクル素材や、エシカルに生産されたメリノウールやユーカリを使用したスニーカーを生み出しているオールバーズ。日本では原宿に路面店があり若者からも注目を集めています。
終わりに
いかがでしたか?今回はBcorp認証について紹介しました。
日本国内外において様々な企業がSDGsや環境保全などを推進していますが、国際的な認証制度であるBcorp認証を取得することで、公益性のある企業と認められるだけでなく、社会的信頼を得ることにも繋がります。
現状、日本での認知度はまだ高くないですが、今後Bcorp認証を取得する日本企業が増えれば、 「せっかく商品を買うならBcorp認証を取得している商品を選ぼう」と、消費者が商品やサービスを取捨選択する際の基準の1つになっていく未来もそう遠くないのではないでしょうか。