こんにちは、インターグのHonokaです。先日弊社インターグは、麻布消防署にて普通救命講習と上級救命講習を受講いたしました!
インターグでは「一人の幸せから、世界を変える。」というミッションを掲げています。一人の幸せとは何か?人それぞれ違うかと思いますが、なによりも「生きている」ということが重要だと思います。何かがあった時に自分はもちろん、大切な人も守れるようにと思い、救命講習を受けることになりました。
そこで今回は、現場で様々な場面を目にしてきた救急救命士の方にインタビューさせていただきました。救命救急士の方からしか聞けないお話なども沢山あり、救命講習の重要性を改めて実感しました。
この記事を通して、一人でも多くの方に勇気をもって行動していただけたら嬉しいです。
インタビューイーのご紹介
今回インタビューさせていただいた救命救急士の方をご紹介します。
- 救急事業本部 救急指導第二課 応急手当教育指導員 救命救急士:宗房さん
- 東京消防庁 麻布消防署 警防課救急係 課長補佐 救急課長 救命救急士 消防司令:安藤さん
- 現役の救命救急隊長:森岡さん
救命講習の目的と背景
救命講習の目的は、「救命」「悪化防止」「苦痛の軽減」の3つです。一般の方が傷病者に適切な手当てができるよう、救命講習が実施されています。
救命講習が実施されるようになった背景には、かなり昔に遡ると軍事訓練の一環としての救護訓練がありました。その後、応急救護措置や技術の普及活動が始まり、心肺蘇生法や外傷への対応などが指導されてきました。しかし、当時の日本では心肺停止患者(CPA)の社会復帰率が欧米に比べて非常に低く、一般市民による心肺蘇生の習慣もありませんでした。そこで、救命率を上げるために「救急救命士法」が制定されました。
これにより、薬剤の使用、器具を使った気道確保、除細動器による電気ショックなど、本来医師の領域だった処置が救急隊でも可能になり、一般市民が救命に関われるような体制が整っていきました。
しかし、最初は一般市民がAEDを使うことは認められておらず、キャビンアテンダントのみが例外的にAEDを使用できるというものでした。
その後、一般の方でもAEDが使えるようになり、救命講習にもAEDの使用方法が加わりました。AEDによる蘇生法は特に効果が高く、日本の救命率や社会復帰率も向上しました。
救命講習の受講者について
麻布消防署の管内では、年間で約100件の救命講習が行われており、毎年1,100名ほどの方が受講されています。民間企業では教育機関を除く80%の事業所が実施している状況です。また、東京消防庁のデータでは、東京都全体で年間18万人が救命講習を受けています。
さらに、日本赤十字社でも救命講習を実施しており、日本赤十字社では全国で約100万人が毎年受講しているとのこと(Wikipediaより)。
受講されている方の業種については、教育機関の方や福祉施設の職員、警備員、駅員の方々が多く受講されています。業務上バイスタンダー(救急現場に居合わせた人)になり得る機会があることから、対応スキルの必要性を強く感じているのだと思います。彼らが対応してくれることで、救急隊到着時にはすでに呼吸や脈が回復しているケースも多々あります。本当に素晴らしいことです。
何も分からない状態だと、どう対応していいか分からず、心臓マッサージにも不安を感じてしまいますが、講習を通じて自信が持てるようになり、実際の現場での行動につながっているのだと感じています。
実際の救命事例について
実際に麻布消防署で今年の1月にあった事例ですと、70代の男性がウォーキングツアーに参加している際、お寺で休憩中に急に具合が悪くなり、心肺停止状態に陥りました。その時、ツアー参加者や関係者がすぐに近くの税務署からAEDを借りてきて、胸骨圧迫とAEDによる電気ショックを実施しました。
ドクターカーが現場に到着した時には、幸いにも呼吸と脈が戻っており、その後救急隊が引き続き救命措置を行いながら病院に搬送しました。搬送中は意識が戻っていませんでしたが、院内で意識が回復し、ご自身の足で歩けるまで回復しました。最終的には社会復帰も果たされたそうです。
救命講習でもお話しした通り、救急隊が到着するまでには平均で約10分かかります。この間にも生存率は低下するため、一般の方による初期の救命措置がとても大切です。迅速な対応が、命を救うための大切な一歩となるのです。
講習を受けた方が心がけるべきこと
実際に救命現場に遭遇した際には、119番に通報すると救急隊から折り返しの電話がかかってきます。その段階で意識や呼吸がない場合、通報者が救急隊の口頭指導に従って行動します。まずは勇気を持って行動することを心がけていただきたいです。バイスタンダーとして、勇気を持って行動することで、助かる命が増えるのです。
さらに、AEDを使用する必要がある場合、対応が1分遅れると救命率が7~10%下がるというデータがあります。1分でも1秒でも、早く行動することで生存率が確実に上がるため、できるだけ迅速に行動することが非常に重要です。
引用元:OMRON 公式サイト
最近では、『Live119』という映像を活用した口頭指導のサービスもあります。現場に2人以上の人がいれば、このサービスを使って、映像を見ながら救急隊が応急手当の方法を指導することができるので、こうしたツールもぜひ活用していただければと思います。
また、ケガをしている方で血が出ている場合、処置をする方が血に触れることで感染する可能性もありますので、血には絶対に触れないようにしていただきたいです。もしビニール袋などがあれば、それを手袋代わりに使うことができますので、そういったものを活用して処置していただけると良いでしょう。
傷病者を動かしても良いか分からないときはどうしたらいいか
もし傷病者が危険な場所(道路の真ん中や工事現場の近くなど)にいる場合、そのまま放置しておく方が危険なので、移動させる必要があります。
また、プールサイドや雨の降っている屋外など、水に濡れやすい場所では、AEDの電気が水で逃げてしまう可能性もあります。そのため、可能であれば屋内へ移動させ、着ている服を脱がせて濡れていない状態に保ち、バイスタンダーも濡れないように注意していただきたいです。濡れていると、電気が自分に流れてしまう可能性もあるので、気をつけてください。
交通事故の場合、事故現場の通行止めをしても問題ないですし、緊急避難的が必要な場合もあるので、その点も意識して行動してください。
地震が発生した際に意識しておくこと
基本的には『自助共助』を意識して行動することが非常に大切だと思います。『自助』はまず自分の力で助かること、『共助』は周囲の人と助け合うことです。最近では、各家庭で避難バックを用意されている方も多いかと思いますが、水や食料に加えて、三角巾やガーゼなど、応急救護に必要な資材も揃えておくとさらに安心です。
また、自分が軽傷であれば、自分自身の処置をした上で、重症の高齢者などを助けるために共助の力を発揮していただければと思います。そのためには、まず自分自身がケガをしないことが重要です。地震に備えて家具や家電の転倒防止や、割れたガラスでケガをするリスクもあるため、室内ではスリッパを用意しておき、震災時は裸足で歩かないよう心がけていただきたいです。
さらに、救急対応が逼迫することが予想されるため、ケガの緊急性を判断し、自分で病院に行ける程度のケガであれば、できるだけ自分で対応していただけると大変助かります。
救急救命士の方々から社会に伝えたいこと
自分で病院に行けるかどうかは、救急車を呼ぶかどうかの重要な基準になると思います。ご自身で動ける方は、できるだけ自分で病院に行っていただけると、救急隊はより重症な方の元へ向かうことができますので、その判断をしていただけると大変助かります。
ただし、急に病院に行っても対応できる医師が不在の場合もありますので、事前に病院に連絡してから向かうようにしてください。とはいえ、もし救急車が絶対に必要だと思われる場合は、ためらわずに119番に連絡してください。
また、バイスタンダーの役割は非常に重要です。近年、バイスタンダーが増えてきていますが、さらに多くの方に救命講習を受けていただき、AEDの使い方や応急手当などの正しい知識を身につけ、少しの勇気を持って行動していただけたらと思います。
日頃から応急手当の知識を忘れずに保つことが大切ですが、もし忘れてしまった場合は、スマート動画を見たり、3年に一度の再講習を受けていただければ、常に最新の知識を持つことができると思います。
インタビューを受けて
今回救急救命士の方々にインタビューをさせていただき、救急車を呼んでも、救急隊が到着するまでには平均10分ほどかかり、その間にも救命率は低下するため、自身の行動が非常に重要であり、勇気を持って行動することの大切さを改めて知りました。
また、近年ではバイスタンダーと呼ばれる、救急現場に居合わせた人が助ける事例も増えていると知り、一般市民の方が勇気を持って行動することで、多くの人の命を救うことができるため、一人でも多くの方に救命講習の受講や勇気を持って行動することを心掛けていただけたら嬉しいなと思いました。