こちらの連載では、「SEOについて知りたい・学びたい」初心者の方向け本(目的から施策内容まで)を解説していきます。
技術的な解決策というより、SEO全体への理解を深め、どんな施策が必要か知ることを中心に扱った内容となります。
SEOをはじめとするWebマーケティング、コンテンツマーケティングの施策に取り組みたい方は、ぜひ参考にしてみてください(一部内容はこちらの書籍を参考にしています)。
SEOとは、検索結果の上位表示を目指し、サイトへ流入するユーザー数の増加を目指すこと
引用元:Cesar MartínezによるPixabayからの画像
SEOとは、検索エンジン最適化 – Search Engine Optimizationです。
例えば、Googleなどの検索エンジンで、特定のワード(検索クエリ)を検索したとき、ご自身のWebサイトやWebページが上位表示されるようにすることを、SEOと呼びます。
検索結果で上位表示されればクリック数やPV数といった流入が増加し、自社サービスや自社商品の利用者増加、ひいては売り上げアップやWebサイト・会社のファン層獲得といった成果に繋がります。
このように、検索エンジンに最適化されたサイトやコンテンツの設計を通して、認知や利益(CVR – コンバージョン)を向上させることが、SEOの最終目的となります。
また、「検索結果に上位表示させる」の他にも、「狙ったワードの検索結果に狙ったページが表示されるようにする」「検索結果から、他のサイトではなく自サイトに流入してもらうようにする」など、SEOとして挙げられる施策は多々あります。
SEOでまず目指すべきは、Googleの理念に沿ったSEO対策の実施です
検索エンジンは数ありますが、現状におけるSEOは、「Google」の検索アルゴリズム(基準や仕組み)に最適化することと考えて問題ありません。
なぜなら検索エンジンのほとんどのシェアを「Google」が占有しており、さらに、2番目に利用されている「Yahoo!」においても、検索エンジンの仕様は「Google」のものを利用しているからです。
「Google」の検索アルゴリズムに評価されるサイト運用を目指すことで、SEOによる効果を最大化することができるのです。
Google検索の仕組み
まず、Googleの検索の仕組みについてかんたんに解説します。
SEO対策とは、Google検索の仕組みに沿って、サイトやページの評価を高めるには何をすればいいか考えていくことに他なりませんので、流れをしっかりと知っておきましょう。
Google検索は、基本的に以下の流れで、検索エンジンに検索結果を表示させています。
1. クロール
Googlebotと呼ばれるクローラ(プログラム)が、Web上に公開されているWebサイトやWebページの情報を集めます。
2. インデックス登録
集められた情報をもとに、インデックスというGoogleの巨大なデータベースにURLが登録されます(インデックスされるなどと動詞的にも使われます)。
3. 検索結果の表示
ユーザーが検索エンジンで検索したとき、検索アルゴリズムにもとづいて、検索結果を表示します。
このとき、検索結果に表示するページの情報だけでなく、ユーザーの地域や行動履歴も含め、下記のような様々な要因が考慮されます。
- ユーザーの検索意図
- ウェブページと検索クエリの関連性
- コンテンツの品質
- ユーザビリティ(ページの見やすさや使いやすさ)
- ユーザー情報など文脈の考慮
Google検索の方針・理念
引用元:Gerd AltmannによるPixabayからの画像
SEO対策をするためには、Googleの検索エンジンがどういった仕組みでWebサイトを評価して、検索結果の順位付けを行っているのかを知る必要があります。
Googleは、すべての検索アルゴリズムについて公開しているわけではありませんが、検索の仕組みに関する方針や理念、重要なポイントについて、周知してくれています。
例えば以下はGoogleの方針を示す抜粋です。
完璧な検索エンジンとは、ユーザーの意図を正確に把握し、ユーザーのニーズにぴったり一致する答えを返すものである。
つまり、ユーザーのニーズ(需要)を第一に考え、ユーザーの要求を十分に満たすようなコンテンツを表示させることが、Googleが考える検索エンジンの理想なのです。事実、Google検索のアルゴリズムは定期的にアップデートを行い、この理想に近づくように改善を重ねています。
また、少し実際的な話になりますが、Googleが行う定期的なアップデート(Googleコアアルゴリズムアップデート)はSEOの施策と成果の関連性(例えば検索結果の順位)に大きな影響を与えます。
Googleの方針や動向を追って、こうした変動に対応することも、SEOを進める上で必要となりますので留意しておきましょう。
Google検索への理解は、イコールでSEOへの理解に繋がります。
SEO対策は「サイト内部施策」「サイト外部施策」「コンテンツSEO」の三本柱で行います
引用元:mohamed HassanによるPixabayからの画像
ここからはもう少し具体的な施策のお話で、SEO対策の種類を大まかさにカテゴライズすると、
- サイト内部施策
- サイト外部施策
- コンテンツSEO
この3つに分類できます。それぞれの施策の概要についてみていきましょう。
1. サイト内部施策
サイト内部施策は、サイト内のコンテンツ内容以外を対象に行う施策です。
SEO対策ではじめに着手しやすい施策の多くは、内部施策に該当するかと思います。外部施策は内部施策やコンテンツSEOが進んでいることが前提となっている部分があり、コンテンツSEOは施策と成果の関連性が見えづらく試行錯誤が必要だからです。
以下はサイト内部施策の例となります。
- 検索結果に表示される「サイト名」や「説明文」の最適化( キーワードや文字数を考慮しながら、HTMLのheadにtitleタグ、descriptionタグを使って記述します)
- サイト内を回遊できるリンク導線の追加(Googlebotがサイトのページを見つけやすくする(クロールしやすくする)ために、パンくずリストやグローバルナビなど、内部リンクを追加します)
- モバイルファーストインデックス対応(スマホやタブレットの利用者が増えるなか、Googleはモバイル端末での見やすさや使いやすさを基準に、ページを評価するようになっています。モバイル端末の利用を中心に考えたページ作りを進めて、これに対応します)
2. サイト外部施策
サイト外部施策は、主に2つの指標、「被リンク」と「サイテーション(引用や言及)」の獲得を目的とした施策です。
他のサイトからリンクされていたり、他のサイトで引用・言及されていたりすることも、自サイト・自ページの評価向上に繋がります。
被リンク
被リンクを集めることをリンクビルディングとも呼び、リンクの質と量が両輪で判断されます。
過去には、金銭で被リンクを大量に自ページに集まる不正な施策が行われたこともありましたが、アルゴリズムの改善もあって「質の低い被リンク」と見なされるようになり、現在はペナルティの対象になります。
被リンクの評価基準となる主なポイントは以下の通りです。
- リンク元ページの評価(ページランク)
- リンク元ページのリンク設置状況
- リンク元とリンク先のコンテンツの関連性
- リンクが貼られてからの経過時間(リンクエイジ)
リンクを集めるための施策としては、SNSの活用などが挙げられます。
サイテーション
被リンクと同じように、他サイトで言及・引用されるほど、信頼できるサイト・ページ・ブランドとして、Googleに評価されやすくなります。
- ブランド名(会社名、店舗名、サービス名、商品名など)
- 住所や電話番号
- テキストで記載されたURL
もちろん、これらが言及されたとき、「この言及は自ページや自サイトについて言及したものだ」ということを、Googleに判断・紐づけしてもらわなければなりません。
3. コンテンツSEO
詳細は公開されていませんが、Googleはページランク(ページの評価)を算出して各コンテンツを評価しているようです。評価基準を満たすようなコンテンツ作成が、コンテンツSEOの軸となります。
対策としては、「自サイトのSNSアカウントを立ち上げる」「自サイトのページの情報をGoogleに詳細に伝えられる構造化マークアップを行う」「Googleマイビジネスに登録する」「無料で利用できるメディアに情報を掲載する」などが挙げられます。
なお、言及や引用の対象として評価されるのは以下のような内容です。
- Page Quality評価(ページの品質)
- E-A-T(専門知識、権威、信頼性)が伴っているか
- メインコンテンツの質と量は十分か
- ユーザビリティ(使いやすさ)が考慮されたページか
- Webサイトの運営者やWebページの作成者が明示されているか
- Webサイトの評判がいいか
- Needs Met評価(ユーザーニーズとの一致)
- 検索クエリに対応してユーザーが知りたい情報を盛り込んでいるページか
- モバイルページの表示崩れはないか
- コンテンツがないURLで表示されるエラーページにサイト内の別ページへのリンク導線があるか
また、YMYL – Your Money Your Life という領域に関わるコンテンツは、ユーザーの生活に重要な影響があります。特に高品質のページが求められると明示されていますので念頭に置いておきましょう。
またYMYLのジャンルの例は以下になります。
- 買い物、金融取引など金銭のやり取りが可能なページ
- 財産情報(投資、税、保険など)の掲載ページ
- 医療情報の掲載ページ
- 法律情報ページ
質が高く、ニーズを満たすコンテンツを作成するには、「キーワード」「ユーザーニーズ」「競合サイト」の3つの要素を複合的に分析していくことが必要になります。
自サイトを上位表示させたいクエリの関連キーワードについて、Webツールなどを使用して調べることで、例えば以下のようなことを分析できます。
- どんな関連キーワードがあるか
- 関連キーワードをどのようにカテゴライズできるか
- そのキーワードで検索する人のニーズはなにか
- 関連キーワードの検索ボリューム(検索数)はどれくらいか
- そのキーワードで上位表示されるのはどんなコンテンツか
- そのキーワードで検索したとき、「関連する検索キーワード」にはどんなキーワードが表示されるか(Googleサジェスト)
このような分析から、さらに深掘りしていくことで、「ユーザーの具体的なニーズを把握して対応したコンテンツをつくる」「競合性が高いワードを避けて上位表示を目指す」「関連するキーワードを参考にコンテンツの数を増やしていく」など、施策の方向性が見えてきます。
あとは、その方向性をもとに、コンテンツの内容(構成、テキスト、デザイン、織り込むキーワード、文字数、画像など)をブラッシュアップしていくことになります。
まとめ
引用元:Darwin LaganzonによるPixabayからの画像
「第1回 SEOの基本」の内容は以上です。簡単に内容まとめたので、おさらいしておきましょう。
- SEOとは、Google検索に対して最適化を行い、検索順位を上げることで、流入や売上の増加を目指すこと
- Googleのアルゴリズムに従い、ユーザーニーズを第一に考えたサイト設計、コンテンツ作成を行うことが重要
- SEO施策は大まかに分けると、「サイト内部施策」「サイト外部施策」「コンテンツSEO」があり、様々な観点から対応する必要がある
SEOは、自分で検索して流入してきた、質が高い(目的がはっきりした)ユーザーを集めることができるというメリットがあります。また、自ら運用しているサイトやページのSEO評価を高めれば、それは半永久的な資産として活用していけます。
一方で、効果が出るまでに数ヶ月といった時間が必要だったり、施策と成果の関連性を完全に把握するのが難しかったりするため、粘り強い取り組みが必要です。