「SEOについて知りたい・学びたい」初心者の方向けに、SEOの基本(仕組み・やり方)を解説していく連載の第4回です。
(一部内容はこちらの書籍を参考にしています。 『現場のプロから学ぶ SEO技術バイブル』 ※Amazon外部リンク)
今回のテーマは「コンテンツSEO」について。
具体的には、以下の内容を紹介していきます。
- 「コンテンツSEO」の定義・目的・メリット
- Googleが明示している良質なコンテンツの評価基準まとめ
- SEOを意識したコンテンツ制作で抑えておきたいポイント5つ
目次のなかから、気になるトピックスをチェックしてみましょう。
コンテンツSEOとは? – 目的・やるべきメリット・目指す理想をおさらい
【コンテンツSEOの定義】コンテンツSEOはコンテンツマーケティングの施策のうちのひとつ
コンテンツSEOとは、Google検索で上位表示される記事コンテンツをつくり、自然検索からのトラフィック(流入数)を増やす施策です。
コンテンツマーケティングという言葉とも混同されますが、厳密にいえば意味は異なります。
コンテンツマーケティングも、コンテンツを活用してトラフィックを獲得するという目的は同じです。ソーシャルメディアや広告運用を含め、あらゆる経路からの流入を統括的にブラッシュアップします。
ただし、コンテンツマーケティングの狙いには、さらに先の範囲も含まれます。ユーザーとの良好な関係の構築、長期的な関係性の維持、メディアや企業のファン層を獲得するブランディングなどです。
一方で、コンテンツSEOは、コンテンツマーケティングに内包された施策の一種と考えればよいでしょう。コンテンツマーケティングのうち、特にSEO(検索エンジン最適化)に特化した施策が「コンテンツSEO」となります。
【コンテンツSEOの目的・メリット】「質が高いコンテンツ作成→ユーザーニーズを満たす→自然検索流入数の増大」をはかる
引用元:Joseph MuciraによるPixabayからの画像
SEO施策全体の主な目的は「集客」となります。そのなかで、特にコンテンツSEOによって見込める影響としては、以下のような内容が挙げられるでしょう。
- 狙ったクエリからの流入を増やす、流入を見込めるクエリの幅を増やす
- サイトの資産としてコンテンツをストックしていくことでドメイン全体の価値向上につなげる
- ニーズを満たす有益なコンテンツと評価されることでSNSでのシェアや被リンクを獲得する、ファンを獲得しサービス・サイト・企業のリピーターをつくる
上記を考えると、コンテンツSEOに取り組むべきメリットも見えてきます。
すなわち、コンテンツSEOを通して「質の高いコンテンツをつくる」「特定クエリで検索順位をあげる」という対応を進めれば、コンテンツをWEB上の資産として、中長期的な成果の積み上げが可能ということです。
もちろんデメリットもあります。
初期投資として労力・工数・ノウハウが必要となり、成果が検索順位から流入数、CV数と表れるまでに一定期間以上、数ヶ月単位での時間を要します。また、メンテナンスやPCDAを回して成果を安定させ続ける作業は欠かせません。
しかしある程度の成果が見込めるまで積み上げを行い、「ユーザーニーズを満たす質の高いコンテンツ」の枠組みを作り出せれば、その後は記事リライトや情報の更新、Google検索のアルゴリズム変動への対応が必要なくらいで、多くのコストを割く必要はなくなります。
時間経過とともに費用対効果を高めていきやすく、ある程度効果が出るところまで積み上げれば得られる成果が安定しやすいのも、コンテンツSEOの特徴です。
また、SEO施策の一環として考えたとき、内部施策や外部施策がどれほどしっかりしていても、ユーザーが求めるコンテンツが存在しなければSEO施策が効果的な成果に繋がることはありません。試行錯誤しながらコンテンツの質を高めていくことは、SEOの最も重要な作業であると同時に、成果を上げるための大きな課題のひとつといえます。
【コンテンツ評価基準まとめ】「ページの品質が高く」「ユーザーニーズを満たし」かつそれらが「Googleに伝わりやすい」サイトを目指す
引用元:Suomy NonaによるPixabayからの画像
質の高いコンテンツとは、「Google検索に評価される≒ユーザーニーズを満たす」コンテンツのことです。
Google品質評価ガイドラインによると主な評価基準としては、「ページの品質を高める」「ユーザーのニーズを満たす」の二点があります。以下のようなポイントを抑えるように意識しましょう。
Page Quality評価(ページの品質)
- E-A-T(専門知識、権威、信頼性)が伴っているか
- メインコンテンツの質と量は十分か
- ユーザビリティ(使いやすさ)が考慮されたページか
- Webサイトの運営者やWebページの作成者が明示されているか
- Webサイトの評判がいいか
Needs Met評価(ユーザーニーズとの一致)
- 検索クエリに対応してユーザーが知りたい情報を盛り込んでいるページか
- モバイルページの表示崩れはないか
- コンテンツがないURLで表示されるエラーページにサイト内の別ページへのリンク導線があるか
参照元:Google評価ガイドライン
さらにGoogle検索セントラルのウェブマスター向けガイドラインには、以下のような基準が載っています。一部抜粋して引用していますので、目を通しておきましょう。
Google がページを理解できるよう手助けする
- 情報が豊富で便利なサイトを作成し、コンテンツをわかりやすく正確にページに記述します。
- ユーザーがサイトを検索するときに入力する可能性の高いキーワードを検討し、そのキーワードを実際にサイトに含めるようにします。
- <title>要素とalt 属性をわかりやすく、具体的で正確なものにします。サイトの重要なコンテンツをデフォルトで表示します。Google はタブや展開するセクションなどのナビゲーション要素内に含まれる非表示の HTML コンテンツをクロールできますが、こうしたコンテンツはユーザーがアクセスしにくいものとみなされ、また、最も重要な情報はページの表示時にデフォルトで閲覧可能となっているものと解釈されます。
訪問者がページを利用しやすいよう手助けする
- 重要な名前、コンテンツ、リンクを表示するときは、画像ではなくテキストを使用します。テキスト コンテンツの代わりに画像を使用する必要がある場合は、alt 属性を使用して簡単な説明テキストを組み込みます。
- パソコン、タブレット、スマートフォンを含む、あらゆる種類やサイズのデバイス向けにサイトをデザインします。モバイル フレンドリー テストを使用してモバイル デバイスでのページの動作をテストし、修正の必要な箇所についてのフィードバックを得ます。
- サイトが各ブラウザで正しく表示されることを確認します。
品質に関するガイドライン/基本方針
- 検索エンジンではなく、ユーザーの利便性を最優先に考慮してページを作成する。
- ユーザーをだますようなことをしない。
- 検索エンジンでの掲載位置を上げるための不正行為をしない。ランクを競っているサイトや Google 社員に対して自分が行った対策を説明するときに、やましい点がないかどうかが判断の目安です。その他にも、ユーザーにとって役立つかどうか、検索エンジンがなくても同じことをするかどうか、などのポイントを確認してみてください。
- どうすれば自分のウェブサイトが独自性や、価値、魅力のあるサイトと言えるようになるかを考えてみる。同分野の他のサイトとの差別化を図ります。
参照元:ウェブマスター向けガイドライン
最後に、少し古いですが、「Googleウェブマスター向け公式ブログ」2012年9月7日に良質なサイトのヒントが掲載されていますのでご紹介します。
良質なサイトとは?
- あなたはこの記事に書かれている情報を信頼するか?
- この記事は専門家またはトピックについて熟知している人物が書いたものか? それとも素人によるものか?
- サイト内に同一または類似のトピックについて、キーワードがわずかに異なるだけの類似の記事や完全に重複する記事が存在しないか?
- あなたはこのサイトにクレジット カード情報を安心して提供できるか?
- この記事にスペルミス、文法ミス、事実に関する誤りはないか?
- このサイトで取り扱われているトピックは、ユーザーの興味に基いて選択されたものか?それとも検索エンジンのランキング上位表示を目的として選択されたものか?
- この記事は独自のコンテンツや情報、レポート、研究、分析などを提供しているか?
- 同じ検索結果で表示される他のページと比較して、はっきりした価値を持っているか?
- コンテンツはきちんと品質管理されているか?
- この記事は物事の両面をとらえているか?
- このサイトは、そのトピックに関して第一人者(オーソリティ)として認識されているか?
- 次のような理由で個々のページやサイトに対してしっかりと手がかけられていない状態ではないか? – コンテンツが外注などにより量産されている – 多くのサイトにコンテンツが分散されている
- 記事はしっかりと編集されているか? それとも急いで雑に作成されたものではないか?
- 健康についての検索に関し、あなたはこのサイトの情報を信頼できるか?
- サイトの名前を聞いたときに、信頼できるソースだと認識できるか?
- 記事が取り上げているトピックについて、しっかりと全体像がわかる説明がなされているか?
- 記事が、あたりまえのことだけでなく、洞察に富んだ分析や興味深い情報を含んでいるか?
- ブックマークしたり、友人と共有したり、友人にすすめたくなるようなページか?
- 記事のメインコンテンツを邪魔するほど、過剰な量の広告がないか?
- 記事が雑誌、百科事典、書籍で読めるようなクオリティか?
- 記事が短い、内容が薄い、または役立つ具体的な内容がない、といったものではないか?
- ページの細部まで十分な配慮と注意が払われているか?
- このサイトのページを見たユーザーが不満を言うか?
当たり前と思える内容から、抽象的な内容、実現に努力が必要な内容まで、いろいろありますね。これらの基準を踏まえたうえでコンテンツについて検討していけば成果改善につながるはずです。
絶対に知っておきたい!SEOを意識したコンテンツ制作・5つの基本
引用元:Joseph MuciraによるPixabayからの画像
【ユーザーニーズを知らなければ、効果的なコンテンツは作れない】
コンテンツSEOにおける最重要要素はユーザーニーズの把握です。ユーザーニーズを満たす=検索ユーザーの目的を叶えるコンテンツ作成がゴールとなります。
たとえば、情報・知識がほしい、商品を買いたい、ある場所に行きたい、特定のサイトが見たい、今近所にあるお店を調べたい、などユーザーの目的は様々あります。
このようなニーズの分類をもとに、ターゲット像(ペルソナ)を規定することで、特定のユーザーに刺さりやすいコンテンツのイメージが見えてくるでしょう。
コンテンツ作成の前には、このような前調査を行うことが重要なのです。
引用元:Gerd AltmannによるPixabayからの画像
1. 検索クエリ、関連キーワードからニーズを推測する
ニーズを調べる方法の一つは、どのようなクエリで検索されているか、を見ることです。
たとえば「掃除機」の検索クエリだけではユーザーの目的はわかりませんが、「掃除機 安い ランキング」であれば、「安い掃除機を買うために複数の商品を比較検討したい」という意図が読めます。
ツールとしては、Google広告の「キーワードプランナー」や、Googleサジェストを調べられる「ラッコキーワード」、無料では機能が限られるもののキーワード調査・被リンク調査・競合調査が可能な「Ubersuggest」などが活用できます。このようなツールを使えば、検索クエリ/関連キーワードについて、バリエーション・検索ボリューム・他サイトとの競合性などを調べることができます。
また、各キーワードの検索ユーザーは、自サイトが求める成果に対して見込みが高い層(顕在層)~見込みが低い層(潜在層)のうち、どこに当てはまるのか、把握しておくことも大切です。
たとえば、自サイトでユーザーに商品購入してもらうことが目的の場合、「掃除機 修理」や「掃除機 仕組み」というワードは見込みが低そうなので、「掃除機 おすすめ」「掃除機 最新」といったコンテンツを優先的に作る、などの判断材料にできます。
このように、クエリからニーズを分析することで、コンテンツの「情報」「構成」「盛り込むキーワード」などを決めていくことができます。
ユーザーの意図を考え、どのようなコンテンツに・どのような情報を・どのような順番で記載すれば効果的か、分析することから始めましょう。
2. 競合サイトからニーズを推測する
同じようなジャンルや目的の競合サイトがある場合、サイトの中身を参考にするのもよいでしょう。
特に、実際にGoogleで検索上位に表示されるページは、「ユーザーニーズを満たすページ/サイト」として評価されている可能性が高いと考えられます。(もちろん本当に質が高いページかどうかの判断は必要です)
どのようなコンテンツをつくり、どのように見せれば、ユーザーのニーズに合致したページとなるのか、競合サイトを参考に、前例から逆算して学ぶのもひとつの手段です。
【コンテンツの質は〈ユーザー・競合サイト・Google検索のアルゴリズム〉から考える】
引用元:Joseph MuciraによるPixabayからの画像
コンテンツの質はいくつかの要素から決定します。対象として意識したい相手ごとに、各要素をまとめてみました。
3. ユーザーに対して、望ましいコンテンツをつくる
- ユーザーがほしい情報(ニーズ)に合致するコンテンツである
- ユーザーが読みやすい(ユーザビリティが高い)と感じるコンテンツである
ニーズを満たしたコンテンツ制作には、以下のようなポイントが大切です。ざっと並べていますが、それぞれの項目に対し、PDCAを回しながら、しっかりと時間をかけて最適解について考えるのがよいでしょう。
- 検索結果のタイトルや説明文(description)で、知りたい情報があるページだとすぐわかる
- タイトルや説明文と、実際の内容が合致していて期待通りである
- 導入部の見出しやテキストで惹きつけられる、続きが読みたくなる
- 見出しには関連するキーワードを織り込んでいる
- 本文は、短い文章で読みやすく、なにが書かれているかわかりやすい
- 構成がシンプルで、見出しが適切だから、ほしい情報を見つけやすい
- 1ページ1テーマとなっている(複数テーマを設定してしますとテーマごとに評価が分散するため、1ページ1テーマを原則とする)
- フェーストビューを重視し、重要な要素はページの上の方に載せている
- ページ内にメインとなるクエリの共起語(関連性が高いページに含まれることが多いワード)を織り込んでいる
また、以下のようなユーザビリティの部分にも問題がないか、チェックしましょう。
- 見たい情報がすぐ見つかるデザインになっている(目次の設置など)
- コンテンツ閲覧の邪魔になる広告やポップアップが表示されない
4. 競合サイトに対して、望ましいコンテンツをつくる
- 内容が似ていたりコピーであったりせず、独自性があるコンテンツである
- 情報の量、種類、幅で他のサイトよりも網羅性が高いコンテンツである
- 後追いの内容ではなく、第一人者として認められるコンテンツである
当然のNG行為として、すで存在するコンテンツのコピー&ペーストをしてはいけません。オリジナルの内容、オリジナルの要素、オリジナルのテキストでコンテンツを作成しましょう。
そのうえで、作成するコンテンツは、すでに上位表示されている競合サイトよりも魅力的な価値ある内容だと判断される必要があります。
ベストの状況は、第一人者として新しいジャンルのコンテンツを立ち上げることです。競合がまだいなければ、その分野で上位表示を狙うのは比較的容易にできるはずです。
しかし、実際には同じようなジャンルのページが多数ある場合が多いと思いますので、「情報に独自性を持たせる」「テーマの切り口を変える」など、ユニークなコンテンツ制作を目指す必要があります。
具体的には、主観によってその人しか書けない情報である「口コミ・評価」「使用レビュー・体験談」などは、SEO的に独自性が高いとして評価されやすいコンテンツと言われています。
網羅性の確保のため、作成するコンテンツページには、過剰にならないように関連キーワードをページ内に織り込みつつ、情報量として文字数も競合上位と同じくらいになるよう、適切なコンテンツを充足させていく必要があるでしょう。
さらにコンテンツ内の情報のみならず、関連するページのサイト内での多さや、そのページからの内部リンクの数もかかわってきます。検索クエリ関連の情報を求めているユーザーにとって、サイト全体が有益なコンテンツである状態にするということです。
競合のなかに埋もれてしまうようなサイトではなく、「こういう情報が見たいならこのコンテンツ/このページ」とユーザーに認識されるような優位性があるサイトが理想となります。
5. Google検索に対して、望ましいコンテンツをつくる
- 以上の要素について判断しやすい、システムや規定に則したコンテンツである
- 信頼性がある、安全性が高いと判断できるコンテンツか
コンテンツのターゲットはあくまでユーザーですが、コンテンツの内容がGoogleに伝わりやすい状態であるという前提をクリアしている必要があります。
以下のような基本的なルールは意識しておきましょう。
- 大見出しなど、重要な要素は、画像ではなくGoogleが理解しやすいテキスト形式で表現している
- 画像を設定する場合は、altタグで画像の情報を正しく伝えている
- E-A-T(専門性が高い、権威性がある、信頼性がある)を満たすコンテンツであることを伝えている
- サイトの運営者、コンテンツの執筆者・編集者などを明示している
- 引用元や出典元など、情報の出所を正確に伝えている
- ユーザーに見えない隠しテキストや隠しリンクが存在しない
コンテンツの質の良し悪しは、Googleが判断できて初めて検索結果などに影響を与えます。ユーザーに検索してほしいワードがあるのなら、そのワードをページ・タイトル・ディスクリプションに盛り込むなど、基本的なことを欠かさずやること、そしてテキストを意図的に隠すなどやるべきではないアンフェアな行為は避けることが大切です。
Google検索のアルゴリズム(ページ作成のルール)にのっとって、正しく、積極的に情報を伝えられるコンテンツ作成を心がけましょう。
まとめ:正解はないので、ユーザー目線を軸としつつ、最適解はなにか試行錯誤が必要
引用元:Juned AlamによるPixabayからの画像
以上、「コンテンツSEO」の基本情報や、コンテンツ制作の評価基準、実際の作業時に押さえておきたいポイントのご紹介でした。
細かい基準などいろいろ書きましたが、他のSEO施策同様、ユーザーを中心に考えた有益なコンテンツ・サイト制作を心掛けることが基本になります。
そのうえで、競合サイトやGoogle検索のアルゴリズムといった外部要因との兼ね合いをみて、成果の最大化を目指して日々改善策を実施していく必要がありそうです。